4万とかのコニャックをわりかしハイペースで飲みながら、確かにうまい、と思いながら、当たり前に眠くなってソファで涎垂らす勢いで寝てたら、ルイ13世バカラの入れもん代やしそんなに旨くないやろけど一回ぐらい飲んでみたくて今度買おうか思ってるんよな、とかいう声が聞こえてきて、あれホストだったら100〜200万だっけ、たけーひとりの男のために一晩でうん百万使って飲む酒ってどんな味なんだろうか、自分の肉体を切り売りしながら嘘をついてくれる男に使う金の行く末、もうちょいいい博打がありそうなもんだけど。

わかりやすく簡単に承認欲求を満たせる場所。金をかけた分だけ他人に喜んでもらえて役に立てて存在価値を感じられる場所。

担当はとてもかわいいけれど、プロとしてとてもいいホストだと思うけれど、しかしこの目の前の男に認められたとてそれがどれだけの快感になるのだろう。

姉に、たとえば団地のふっつーの部屋でその子と飲むのでも金払うの?と言われたときに、それはやだ、と即答したことから、わたしが彼自身に魅力を感じているわけではないということがわかる。あくまでも舞台装置ありき、No. 1の肩書きありき。煌びやかな電飾と馬鹿でかいシャンパンコールありきで一個体が輝く場所。暗がりのなかで見るから君の笑顔もメイクもかわいい。

素見せないもん、とか言ってたけどそうだよな、素見せてもそこにあるのは普通の24歳の面白みも特段あるわけでもない男でしかなく、欲しい言葉を的確に打ち出せるかわいい男とはまたべつなので。

でもみんなそのつまんない素を見るために触れるために大枚叩いてんだからすごい、つまんないものを見るために、自分と同じステージにいると実感するための大枚なのかなんなのか。

たいしたことないと知るために積み重なる紙切れたちへの哀愁。

 

 

わたしの承認欲求なんて日頃それはそれはおとなしく、もう学生の頃のように他者と自分をむやみやたらと比べて焦燥感で苦しくなったりはしない。

わたしの承認欲求がプラスアルファで現れて満たされるのは、面白い好きだ、この人のつくるものや生き方が思考回路が好きだと思える人間に対等に面白い好きだと思ってもらえるときだけで、なので金では買えない、というかだいたいの承認欲求なんて金で買えないので困るよな。困りはしないけど、困ってそうな人を見ると、うーん、となる。

 

 

あほだ、と思っていた同期に、言葉を額面通りに受け取りすぎ、押し付けすぎ、と言われて、

えー、となったけど、そうなんだろうな。

だって言葉以外にどこに真意があるかなんてわかんなくない?強がってるの見破るのとかどうすりゃいいの?

三者目線でいつもわりと的確なアドバイスくれるけど自分のことになると全然やな、と言われて、悔しいけどその通りだと思う。

言葉なんて単なるラベルでしかないのに、愚か。

でもわたしは信じたかった、馬鹿なので。脳みそに惚れてもらってるんだ、とか。大事だから他の人間でも代替できるような欲求で抱かないとか、そっちのが愛情として上じゃんと本気で思ってたから、

それも押しつけと言われたらぐうの音も出ないし、判断が早急すぎ、と言われたけれど。エーーーーーーだってさーーーそんなんさーー!!

悲しいよ、袖にされていないとしても、袖にされていると思ってしまうのは疲れる。会えない時間の方が多くてその間マイナスの感情になってしまう恋人なんてなんの価値があるのか。彼の言う向き合えばよかったとおもったから、とはなんなのか。

人間として好きになってもらいたいじゃんだって。難易度高いかもだけど。ということを担当も数多の女たちに欲望をぶつけられながら思ってんだろーなーとしみじみする帰り道。

母のような不安定な女の面倒をよくみてくれるよなと思っていた人は、結局かつての恋人だった。結局恋愛感情がつえーんだ、理解ある彼くんってことか、とがっかりした。

姉の友人も、あわよくば寝たいつきあいたいみたいな旨のこと言ってたしな、そんなもんなのかな。

萎えてきた、わたしも大概思春期だな。

映画観たいなんかめちゃくちゃなやつ、マッドマックスみたいなやつ、人間として見てもらえるやつ。