こいつのなかのディズニーとわたしのなかにあるディズニーは違う。

ということを思ったのは京都駅に向かうタクシーのなかで、そうなると彼が得た6万8千円、せめて今回わたしが払った3万4千円だけでもいいから他に投資したかったと心から思う。

姉が喜んでくれてたからよかったけど、でもあいつを気にいるのもなんか嫌だ。

 

料理は美味い、皿のセンスもよかった。

特別感を出すことに長けているし、料理人というよりはビジネスもできる料理人という感じで、確かにそりゃ毎月固定のリピーターが現れるだろうと思う。

 

だけどわたしは、タメ口を使ってくる提供側も嫌だし「美人さんは真ん中に座ってもらうことにしてるから」だの「美人さんにはこれからも来てほしい」だの、古臭いつまんないことをコミュニケーションやジョークの一環として言う感性も嫌だし、カウンターで立ち回ってる奥さんを尻目に「俺はそういう奴だから」と言ってしまえるそのくそしょうもない無神経な俺、許される俺アピール、それを聞いた奥さんが「え?この人なんか言ってました?」って言って周りが笑う流れを作り出してる感じ、

 

無理。

料理がいくらうまくてもいくら皿が美しくても、よそではなかなかない物珍しさがあったとしても、無理。ない。

それにべつにカウンターでディズニーのキャストさながらに料理をつくりだす高揚感があるといえど、まあミーハーだし乗っかりたがりだがら感嘆の声を漏らしたりしてしまったけど、

個人的にえ、うま、と思ったのは、桜海老のご飯にかかっている梅塩だとか、冷や汁のなかにあるめちゃくちゃ滑らかな京都の豆腐とか、素材だったし。

わたしは有の方が好きだ。つまんないジョーク言う料理人は嫌だ。

 

姉はあそこに来る客層が普段そうなんじゃない?と言っていたけど、あの日いた3組は全員そんなオジ特有のつまんないやりとりなんてしてなかったし、あの料理長だかシェフだか、なんて呼べばいいかわかんないけど、彼がひとりでし始めたことなんだ。

知らんがなすぎる。