金をもらって文章を書くということ

 

 

自分が小説家になれないであろうことは中高生あたりで気づいてたし、だから小説家になって芥川賞直木賞をとかいう夢は早めに立ち消えたし、

でも文章を書くことは普通に好きで将来自分が面白くなれるように日記は小学生の頃からつらつらつらつら書いてきたけど、ここ最近はもうずっとぐぬぐぬ唸っている。

 

 

お金をもらって文章を書くということが苦手なのを忘れていた。

自分が好き勝手書いたものに対価がつくのはラッキーという感じだけれど、あなたの文章いいですね、じゃこのテーマで書いてみてください、とか言われたら話は別なのだ。あー。

 

 

わたしがなりたかったものになっている人が目の前にいて、その人がわたしの生産したものを面白い、好きだ、と言ってくれる喜びはすごい。文芸だし、わたしの好きな作家方面担当してるっていうし。

そんな人に、プロの小説や文章をおびただしく見てきたであろう人に褒められるのは嬉しい。けど、でも、わたしがなりたかったのはあなたのその立場です。

 

 

最寄りの駅についてからずっとずっとずっと腑が煮えくり返っていて、そこで降りる人たちがみんなこの出版社で働いているように見えて、羨ましさで卒倒しそうだった。

社内紹介ムービーで見た天井の高いエントランスや、めちゃめちゃ美味しいのに安いキャラメルサンドが売ってあるディズニーランド内にあってもおかしくないような食堂や、どシンプルなつまらない名刺に刻印されてる社名や、

羨ましくて悔しくて憧れで、下手したら泣いてしまいそうだった。

まあそんなに悔しくなれるんならもっと頑張っとけよっつー話なんですけど。

こんな形で来れるのだって十分嬉しいことなのに、こんな形で来ることになったのも悔しかった。新入社員としても来たかった。くっそ。

 

 

面白いものが書けるなら、べつに悔しくなる必要は皆無だけれど、返ってきた訂正山盛りの原稿にギャーーーーーー!!!!となり、悔しすぎて恥ずかしすぎて、数分間ぐらい、あーーーという一定音しか出なかった。

出版社のお悔やみメールがきたときも、同じように唸っていた。

締め切りが近い。正直、全然好きじゃない。全然好きな文章じゃない。ぐっとよくなりました、とわたしがなりたかった場所に立っている人に言われても、それでも全然いいと思えない。くそ。これわたしが書いたんだよねー! とか言えそうにない。

好きだった男とのことを書いた文章の方がよっぽど説得力がある。でも自分の好きなようにものを書く、というのは、もっと売れているような人、それこそ朝井リョウだとか村上春樹だとか、江國香織とか、なんか、そういうレベルの人たちなんだと思う。

お金をもらう以上、これからも文章で稼いでいけたらいいなと思う以上、大企業にイイネ!って判子を押してもらわないと、わたしの文章は世に出ない。

 

 

いやなにって、制限がある程度あるなかで思ってることを面白く適切に魅力的に書けない自分に苛立ってるんです、それだけ。あーーーーーーーーーーー手直ししなきゃなのに、あの出来損ないの文字の羅列を見るのが嫌で、先延ばしにしてしまう。

ここに着目してえわけじゃないんだよなーーーと思いながら、それでオッケーを出せてもらえない程度の自分の文章力に発狂したくなる。ちくしょう。

 

割に合わない失恋のおかげで、名の知れた出版社から出る新しい媒体でそういうものを書かせてもらえることになったのはめちゃくちゃついてるし最高だし、

やっぱあたしすごいんじゃーん! と思わなくもないけれど、舞台が変われば価値も評価も文章も変わる。それにまだ追いつけてないのが悔しいし恥ずかしい。

 

 

好きでやってたことが、ちゃんとやらなきゃいけないことになると、しんどいっぽいことに気づいた。

文章で他人になにかしらの影響を与えられたら最高だけど、でもなー。なんかもう、surface proを前に、スマホのワードを前に、永遠にげんなりしてる。

23なんだから、もっとチャキチャキぱきぱきできると思ってた。否だね。

千載一遇のチャンスなのだから、頑張りなよ、と言われるたびに、まじでそう… いやほんとにそう…… というプレッシャーで俯いてため息をついてしまう。地獄。

 

 

小説や漫画や作家や編集者や本や文章というものに、思い入れがありすぎるのかもしれない。

文面のきもさで人を、ウッ無理… って思うことも多いし。

でもなーやらないとなー。

編集者にはなれてないけど、いろんな出来事を文章で昇華し、金銭を得られるのなら、たぶんそれってめちゃハッピーだと思うし。たぶん。

でもやっぱ期待されるとぎぇんとなるね。自分のしたいことしかしてこなかったから、プレッシャーに弱め。

 

 

あーーーーー。恩人だと思うと邪険にできない、当たり前だけど。

多少好意が多いな、LINEの文章きもいなと思ってても、その人のおかげでそういう機会が得られたわけだし、という。エーン。

 

 

泣き言言ってても締め切り延びてくれないし、代わりなんていくらでもいるし、そうこれがきつい、なのでやるしかないのである。イエス

寿司食って元気だそ。