こないだ駅ですれ違いざまに、「生きてるの、しんどいね」という言葉が耳に入って、思わず振り返ったら、それは全然思春期真っ只中みたいな若い子でもわたしぐらいの年代の子でもなんでもなく、50代ぐらいの女性の言葉だった。

彼女の隣には杖をついている80代ほどの老婆がいて、おそらく母と娘であろうその組み合わせから発せられる言葉に、固まってしまった。

あの歳でも生きるのってしんどいのか。手当たり次第に行動して生きやすくなってきたような、その分見たくもないものが増えてきたような、そんな感じだけれど、

なんていうか、角田光代のエッセイに書いてあるように、30代40代と歳を重ねるにつれて生きやすくなるんだと思っていた。

でも生きやすくなったからってしんどくないわけではないのか、とか、思う。

彼女たちとすれ違ってから5日は経っているけど、あの声色で発せられた言葉がなんだか忘れられない。年末だっていうのに。