完全に賢さの頭角が現れてきた蟻の観察2日目

 

 

6時半、昨日の蚊に咬まれた痒みに耐えきられず眼が覚める。

蟻の巣を見ると、一番進んでいた右の穴がなぜか更地になっている。

見間違いかと思ったので、とりあえずもう一度寝る。

 

8時。

やはり右の穴が雪崩に遭ったように埋まっている。5センチぐらいは掘り進めていたのに、また一からだ。わたしが寝てる間になにがあった。学習能力ないのか? 何回このくだりするんだ。

カメラを回しておきたい気持ちが出てくる。

 

真ん中の穴を総動員で掘り進めることにしたらしい。逆三角形型なので遅かれ早かれ雪崩が起きそうではある。

 

乾燥を防ぐため水を投入するが、量の加減が難しく、水流により、1匹の蟻を湿った砂で閉じ込めてしまう。

その様子に気づいた2匹の蟻が速攻で砂を咥え、溺れていた蟻を助けるというファインプレー。無駄のない動き。すごい。

 

犬用のクッキーも追加投入したが、甘くないから人気なさそう。

昨日からまだ蜂蜜しか口にしていない。

ていうか羽虫。食べろ。

 

13時。

徐々に巣っぽくなっている。

何かを学習したのか、垂直に掘るのをやめて、なだらかにうねるように曲がり、そこから横向きに掘り進めていたりする。賢い。

 

初めはあまりにも効率の悪い蟻たちに案外あほなのかとがっくりきたが、実際の巣作りもこうして試行錯誤を繰り返しながら完成させているのかもしれない。

わたしがコロニーからランダムに採取した11匹なので、新米だらけだとしてもおかしくはないわけだし。

 

そう考えたら2日目にしてよくやっているなという感じ。賽の河原という言葉を彷彿させられる。

 

犬用クッキーもかりんとうも、依然として一口も食べてない様子。

まだまだ腹のそのうが膨らんでいるから、なにも食べなくてもいいのかもしれない。

でも食べてるところが見たい。健気に運んで砕いて咀嚼して分け合う姿が見たい。エゴ。

 

予定があるためあまり観察する時間がとれないのが残念。

 

改めて蚊に咬まれた箇所を数えてみたら55ヶ所だった。ホラーすぎる。

足がボコボコになっており、蟻観察の弊害がすごい。

虫除けスプレーを使ったほうがよかったのか。蟻への悪影響を懸念して使わなかったけれど、案外蟻には効かなかったりするんだろうか。

でもやっぱそれで苦しまられても悲しいし、観察させてもらう身分のくせに傲慢すぎるので、使わなくてよかったと思う。

あと数週間は生活に影響出まくるレベルで痒いけど。ほんとやだ。

 

 

18時。

外出時に蟻の心配をするようになってきてしまう。ペット感覚に近づいてきて困る。

アルバイトの休憩中、小腹が空いていたので、蟻の餌用も兼ねて、ココナッツサブレをチョイス。

クッキーだし、甘いやつだし、今度こそは食べてほしい。

餓死はしないと思うけど、餌が原因で死んじゃったりしたらやだし。

アルバイト先の人間には笑われた。蟻の可愛さを知ってるのかおまえは。

 

23時。

帰宅。犬より先に蟻を見てしまう。

なんかめちゃくちゃ巣が掘り進められてた。

着々と、蟻の巣!!!! という感じのビジュアルに近づいてきている。いかしてる。

 

餌に変動なし。

羽虫の死骸に関してはもう見たくないので見ないふりをする。

 

従来の餌置き場がゴミ捨て場になっているため、クッキーを直に投入。

一欠片入れたつもりが、思いのほか大きいサイズで投入してしまう。

突如落ちてきた巨大物体に、近くにいた蟻たちがパニックになっていたが、やばい代物ではないとわかると、穴掘りに戻っていった。

交通にも問題はないらしい。

せっかくのココナッツサブレが見向きもされないので悲しい。

 

左側が掘り起こした砂でキットの上までぱんぱんになってしまっている。ここはもう完全に砂捨て場だと判断したのだろうか。

そこも巣として活用すればいいのにと思ったけど、そうなるとまた互いで互いの穴を埋める不毛な時間に突入するので、どこかしらは砂捨て場にならないといけないのだろう。

なんか、海の埋立地を彷彿させられる。

 

真ん中の穴の入り口に依然としてぶっ刺さっているクッキーが、インスタ映えの岩みたいに見えてくる。

なんならうまいこと足場になっているっぽい。

嗅ぎにはくるけど、食べはしない。蟻ってわりと断食ぎりぎりまで我慢できるタイプ?

 

女王蟻がいないのに、彼ら彼女らはなぜこんなにも頑張って巣を作っているのか。申し訳なくなってきた。

 

今のところ水と餌の分量が難しい。

砂を湿らせるための水に関しては、スポイト等を活用するのが一番良さそう。

砂捨て場の砂を少し取り除いてあげる方がよさそう。でもキットが手を突っ込みづらい形状なので無理かも。不甲斐ない。

 

本当に延々とスパイダーマンさながらにアクロバットな姿勢で掘り進めている。サーカス団みたい。重力感じてないのかってレベル。

ぱっと見バテてるかどうかはわからないけど、とにかくタフだ。

 

日々賢くなっていってる感じがして胸が熱い。

頑張れみんな、期間限定ではあるけど、最高の帝国を築き上げてくれ。